「はふはふ! なんという贅沢な! こんなに甘いのに、果実ではないのか?」「野菜というか、麦なんかと同じ仲間ですよ」「なんじゃと! これがか?」 夫人の話でも、トウモロコシに似た植物は見た事がないという。「夕飯は、こいつでスープを作ろう」「わ~い!」「けど、あんまり料理の方法がないんだよな。煮るか焼いて食うのが一番美味い気がするが」「パンは出来ないの?」 パン担当のアネモネは、そこが気になるようだ。「乾燥させて挽けば、粉になるが――どちらかといえば、芋の粉みたいな。でも、小麦粉を混ぜれば出来たような」「所謂、澱粉か」「その通りですカナン様」「ケンイチ殿、この野菜の種はないのか?」「ありますけど、お渡しするんですか? 私に利点が全くないのですが……」 夫人はバン! とテーブルを叩いた。「ケンイチ殿が、この子爵領の至宝である、私の身体に興味がないと申すからだろうが!」 お宝とか自分で言うか?「そんなものは全く興味がございません。私には妻もおりますし」「私もいるよ!」「獣人も2人いますしね」「くぅぅ! この私が、子供やら獣人以下とは、何たる屈辱……いったいどういう事なのだ。これだから、独自魔法使いは……」 やけ食いをしている夫人の横で、プリムラがしょんぼりしている。「プリムラどうした? 全部、丸く収まって、マロウ商会のアストランティア進出への足がかりも出来たのに」「私が、アストランティアで商売したいと言い出さなければ、こんな事にはならなかったのでは……」 まぁ、そうだな。俺が仕留めた肉を消費するためのスープが元だし。「それでも、商売になりそうな物があれば、我慢出来ないのが商人だろう? 俺も商売して明るそうにしているプリムラが好きだし」「そんなに変化がありますか?」「ああ」「ブツブツと独り言を言いながら考えこんでいると思ったら、突然ニコニコしながら、はしゃぎ回ったりしてるよね?」 アネモネの指摘に、プリムラは顔を赤くしている。