青い上下に金糸の刺繍が施された服を着ている。鳥の羽を付けたベレーのような青い帽子をかぶり、背の低い太った男だ。 顔は赤く、血圧が高そう……。「ユーパトリウム子爵夫人、この度は国王陛下から承った水路の普請が完成した事は誠にめでたい」「全く、その通りですな」「しかし、1ヶ月程前の報告では、まだ森の手前で、森を突っ切る普請は無理だと報告を受けていたのだが……」「確かにな。だが、我が友人の魔導師が駆けつけてくれたのだ!」「魔導師?」「ツンベルギア子爵様も、聞いた事があるだろう。ダリアで極悪野盗シャガを討伐した魔導師ケンイチの名前を」 まてまて! 何、バラしてんだ、こいつは!「何? 確かにその名前の報告は受けたが……」「そのケンイチ殿の素晴らしい魔導の数々を使って、困難な普請を成し遂げたのだ!」「むむ……まさか、そんな魔導師がユーパトリウムについているとは……」 何やら、あれこれ話している夫人と子爵様を遠くから眺めていると、ミャレーが話しかけてきた。「貴族様の帽子についている青いのがあるにゃ、あれがコッカ鳥の尻尾の羽にゃ」「あれがそうか、へぇ~」 羽先が青で、縞模様がグラデーションになりつつ、最後は白くなる――美しい羽だ。 しかし、相手の貴族の様子を見ていると、こちら側の工事が失敗すると踏んでいたようだな。 まぁ、グダグダなのは見れば解ると思うんだが……もしかして、こいつらが色々と企み事に絡んでいるのかもしれない。 今の領主が首になって新しい領主が赴任してきても、頭が挿げ替わるだけで、俺の住んでいる場所に影響があるとも思えない。 それに、工事は上手くいったんだ、危機は去ったというべきだろう。 プリムラを貴族のところへ向かわせて、財務のチェックをさせるから、問題も洗い出せると思う。 式典も終わり、俺達も街へ戻る事になった。皆で俺のラ○クルプ○ドに乗り込み、アストランティアを目指す。 貴族連中は、夫人だけが俺の車に乗り込み、他の役人やメイドは馬車で帰領する。 現場にも大型の空馬車が4台程やってきて、人夫達を乗せていく。だが、獣人達は自分の脚で走った方が速いので、利用しないらしい。 時速30km程で走れるので、途中で狩りをして腹ごしらえをしながらでも、今日中には街へ到着してしまうという。