オープンイノベーションの目的は、 新事業創出や新商品開発やオペレーション改善など様々 であるが、 1.1で触れたように日本企業の課題は短期間で市場ニーズを満たす製品 ・ 技術を開 発し長期的に収益を上げ続けることが困難であることであり、 本白書では 「新事業創出/新商品 創出」を目指すオープンイノベーションを中心に記述を行っていく。これまで述べたように我が国でもオープンイノベーションの必要性について理解が進み、 オー プンイノベーションに取り組む環境が整ってきた結果、 第2章においてデータで示すように、 我 が国でもオープンイノベーションに取り組む企業は増加しており、 オープンイノベーションに取り 組む組織の設置もある程度進んできている。 トップによるオープンイノベーションの必要性、 目 的の理解も進んでいる。 しかし、 企業によって経営課題や事業環境は異なるため、 オープンイ ノベーションによっていつまでに何を得たいのかも異なってくる。 自社の内部資源を把握した上 でどのようにオープンイノベーションに取り組むのかを検討しなければならない。 また、 両利き の経営について述べたように、 オープンイノベーション活動は本質的に既存事業と阻害しあう面 があり、 何を期待しているのかがトップに、 あるいは組織に共有されていなければ、 「成果が出 ない」 として中断されてしまう。 これらの課題については第4章で取りあげた企業の事例におい ても十分に認識されており、 工夫が見られた。 この点についても第5章で特に目的と期待する 効果に重点をおいて分析している。