そうなのだ。
芝居を作るには絶対に演出家の言葉が必要であって、指針が無ければ役者が進むべき道は見えてこない。
しかし。
演出家から役者に投げかけられる言葉がすべて「ダメ出し」という名になってしまうのなら、それを受け取る側は辛すぎる。
だって、すでにダメなことが前提になってるし。
「ダメを出される」なんて、できることなら避けたいと思うのが人情だ。
僕なんか、ただでさえ人生のダメ出しをいろんな人から頂戴してきた。
もうお腹いっぱいだ。
正直、この歳になってこれ以上怒られたくない。
……あ、これは違う話だった。
「オマエはダメだ!」と言われたくないくせに、俳優としての注文は受けたい
……というジレンマ。
実際、僕が客演した先では違う言葉を使っている劇団もあった。
「ダメ出しします」の代わりが
「チェックします」
「確認します」
というところもあった。
僕は知らないが「オーダー」という言葉を使うところもあるらしい。
なるほど、演出家からの注文なわけだから「オーダー」というのも有りだ。