確かに、コウお母さんが言うように、私がここで魔法を使うことで、これから先、どんなことが起こるのかわからない。 でもここで、私が見て見ぬふりをしたら、たくさんの人が、大切な人を失う。 大切な人を失った人は、きっと誰かを恨んだり、自分を責めたりする。 それはきっと、ゆくゆくは大きな怨嗟になって、本当に恐ろしいことを引き起こしかねないような気がした。 なんとなくウヨーリ教が広まった本当の意味がわかったような気がする。 タゴサクさんが創ったウヨーリは、話こそ壮大だけど、やっていることはいつも身近なことばかり。 病気や怪我に効く薬草の知識、草鞋や籠を編んで生活に役立てること、害のある獣や虫の対応や、耕作方法、人との関わり方や愛し方。 そういう生活に根ざしたことを、ウヨーリの大層な物語と絡めて教えている。