クリスティーナが頭を下げ、リオが衣装部屋から立ち去っていく。(さて、早く服を借りて、フローラのところに戻らないと……) あまりリオを待たせるわけにもいかない。クリスティーナはまず近くにあったタンスの一つをそっと開けた。「この段は下着……。リッカ商会製のものね。こっちの段はスカートで、こっちにはシャツなどの上着が入っている。今日はもう移動しないとなると、ゆったりした服の方がいいのかしら?」 そう思って、クリスティーナはクローゼットを開けてみる。中にはワンピースや外がい套とうなど、仕立ての良い衣類がずらりと並んでいた。(すごいわね……) いったい普段は何人がこの家で暮らしているのだろうか? という疑問も浮かんだが、これならサイズの合う服もありそうだ。それから、クリスティーナは他にもそれぞれのタンスにどんな服があるのかを確認していき――、(着るのも簡単だし、ワンピースを借りましょう) クローゼットにしまってあったワンピースを二着、借りることにした。普段着ているようなドレスは一人では着用できないが、ワンピースなら簡単に着ることができると考えての選せん択たくである。サイズが合うか身体に重ねてみて、サラと美春のものを選ぶ。ブラスリップの下着があったので、それも借りることにした。(サイズは大丈夫なはず……。たぶん) きついかどうかは実際に着てみるしかないが、森を歩き回って薄うす汚よごれた今の状態だと衣類が汚れてしまう。この場にいないフローラのサイズが合うのか特に不安だが、きつい場合は後で借り直すしかないだろう。(戻りましょう) クリスティーナはクローゼットとタンスの戸を閉め、入った時と同じ状態にしてから衣装部屋を退室した。 リビングに戻ると、フローラがソファで眠っている姿が視界に入る。そして――、(アマカワ卿きようは……)「着替えが見つかったみたいですね」 クリスティーナが室内を見回すと、リオが飲み物の載のったトレイを手にしてキッチンから出てきた。「はい。ワンピースをお借りしました」「冷たいお飲み物をご用意いたしましたので、どうぞ召めし上がってください」