仲がいいんだか悪いんだか。「そっちはどうだ? 麺は匂いが強くないか?」「ガリオとレッドトンガが利いて美味しいぞ」「そうね。ちょっとガリオが強いけど悪くないわ」「なんでも美味しくが冒険者の基本っすからね! 好き嫌いはないっすよ!」「でも牛の舌はちょっと、まだ抵抗があるな」「さっきもいったけど無理に食べなくてもいいさ。俺も虫は絶対に食べないから」「虫虫と言うが、キャタピラスのことか? あれはブラックモームよりも旨いのに」「牛の舌と一緒だよ。先入観が邪魔して俺には無理だ」「なるほど……」「まあ好きに食べてくれ」「ああ、そうさせてもらおう。あ、こらレンゲ! その肉は私のだぞ!」「早いもの勝ちっすよ!」「そうね。私もいただき」「ああ! ソルテは自分のがまだあるだろう!」にぎやかな食卓だよ。「ヤーシスはどうだ? 口に合うか?」「ええ、少し重めではありますがとても美味しいですよ。特に先ほど食べた牛の舌は大変美味でした」「そうかそうか。じゃあ次のも楽しみにしていてくれ」「まだなにかあるのですか?」「まあ牛タンの別の食べ方だな。こっちのが俺は好きだ」そういって厨房の方に消えていった。取り出したのはとある野菜。元々が棒状なのに二本の足のあとがついたそれは頭が緑、身が白という太めの野菜。そう。ネギである。正式名称はネギンであるが。軽く火を通してから皮をむき、タン塩を焼いてその上に載せる。「これがネギタン塩だ」タン塩のオーソドックスな食べ方の一つ、ネギタン塩の出来上がりだ。たまにひっくり返す前にタン塩を焼きながら上にネギを載せてひっくり返すのに苦労している奴がいるが、お店じゃないのなら先にネギを焼いてからみじん切りにすれば簡単である。「ほお。これはネギンを刻んだものですね」「そそ。これをこう、丸める感じでまとめて食べると旨いんだ」