「ああ、安心しろ。倒せたはずだ」 転がっているのは三つに砕けたコアと灰。それ以外は何も残っていない。 倒せたと思った瞬間、気が緩んだのだろう。 一気に疲労が押し寄せてくる。 だが、油断はできない。周囲に敵がいないか、魔法で探知する。 いないことを確認すると、すぐに休みたくなるが、治療と解呪も大切だ。 俺もアルティも、子ヤギもフルフルも獣の眷族の金色の魔力弾がかすっている。 傷つき死に至る呪いを受けているのだ。「とりあえず、治療と解呪だ」 俺はまずアルティに治癒と解呪の魔法もかける。「あ、ありがとうございます」「あとで医務室にも行っておいた方がいい」 治癒はともかく解呪は少し難しかった。疲れている身には少ししんどい。 続けてフルフルと子ヤギにも治癒と解呪の魔法ををかけておく。「ぴぎ!」「めえ」 フルフルと子ヤギは嬉しそうに鳴いた。 そして、最後に自分に同様の魔法をかけて治療は終わる。 無事治療を終えると、俺は地面に尻をつき、足を伸ばして座った。「めちゃくちゃ疲れた」「お疲れさまです。私も疲れました」「アルティ、お疲れさま。フルフルと子ヤギもお疲れ」「ぴぎぃ!」「めぇめぇ!」 フルフルと子ヤギが元の大きさに戻って俺の足の上に乗って来た。 とりあえず、撫でる。「ああ、そうだ、コアと灰も回収しておこう」「そうですね、それは私がやっておきます」「ありがとう」 アルティは獣の眷族の砕けたコアと灰を拾って鞄に入れる。 灰は大量にあるのでその一部だ。 残った灰はフルフルが再び巨大化して処理してくれた。働き者のスライムである。