「それにしても、自分に合わない魔法を行使する魔法使いの負担って相当なんですね。奥様、植物精霊魔法を使っていた頃は寝たきりだったのに、今は随分と回復しました。というか、むしろ、火魔法を使い始めたあたりから、より元気になったような感じもします。魔法って不思議ですね」 私が何気なく言ったその言葉に 何故か七三校長先生は、目を爛々と輝かせて口を開いた。「そうなのだ! 魔法使いは、例えるなら、魔力を魔法に変換させる網目状の、ザルのような変換装置なのだ。精霊使いの場合は、精霊に魔力を送ることで、力を発揮するが、その際、空気中の魔力を精霊に渡せる魔力に変換している。精霊使いは、網目状の魔力変換機能そのものなのだ。自分たちを通して精霊に魔力を送る。精霊はそれを吸収して力を発揮してくれる。だが、合わない魔力に変換しようとむりやり通そうとすると、魔力変換機能を果たすザルの目が目詰まりしてしまう。それが体の不調の原因だ。自分たちの得意な魔力でも使いすぎれば磨耗し精神をすり減らすが、だからと言って、魔法使いが魔法を全く使わないというのも、網目が錆びて体に不調をきたす。魔法使いは、意外と繊細なんだ」「そ、そういうものなのですか」 なんだか、七三の先生の勢いが凄くて、びっくりしたけれど、話の内容自体は初めて聞く内容だし、興味深い。 なるほどね、魔法使いは網目のようなもの、か……。 となると、私が使う生物魔法も似たようなものなのだろうか。 確かに、生物魔法を使うときも似たような感覚がある、かも。 トーマス先生は空気中の魔力を精霊に与えるために変換させるって言っているけれど、私はどちらかというと、体内にある何かを変換させている感じがする。 体内にある何かは、たぶん魔力だと思う。おそらく自分の中にある魔力を変換させて、魔法を行使してる。 私の場合、魔法を使うとものすごくお腹がすくのだけど、それは体内の魔力が減るからだろうか。となると、体内の魔力は、食事で補える何かなのだろうか……?「まあ、先ほどの話は正式なものではなく、私の仮説だが。最近は、火魔法のみならず、他の魔法にも興味が出てきたので、全体的に研究している。魔法とは何か……奥深い。奥深いテーマだ。私は生涯をかけてこのテーマに挑むつもりだ!」 とトーマス先生は、目を輝かせて、今後の抱負を語り始めた。 火魔法大好き人間トーマス先生は、色々と心境の変化があったようで、興味が火魔法をだけでなく魔法全体にまで広がったらしい。 研究熱心だこと。 しかし、トーマス先生の話は興味深かった。 初めて聞いた話だとは思ったけれど、公式の見解ではなく、トーマス先生の仮説の話か。 でも、なんとなくその理論は的を射ているような気もする。 魔法使いは網目のようなもの、か……。「先生、今後も魔法の研究、頑張ってくださいね。応援してます」「ありがとう。リョウ君。あ、そうだ、君にあったら、伝えようと思ったことがあったんだった」 と、ついでのようにトーマス先生がおっしゃったので、何だろうと思って耳を傾けた。「城から召集がかかっている。マッチのことについて陛下直々に話があるらしい」 へー城からの召集で、陛下直々の話かぁ。 ……。