レインリヒ様!?あんたなんでそんな挑発するような真似をしてんだよですか!?「あー。すまん。探偵気分になってたな。レインリヒのお話を聞かせてください。これでいいか?」ダーウィンも煽り返したようだが、なによりも敬語が物凄く気持ち悪い。「ふん。うちの子から買い取ったリストと商品だよ。チェックならヤーシスとダーダリルで行ってるさ」「んー……。へえ。お前が利益度外視とかある意味不正じゃないか?」「現物支給さ。これを私の弟子が作ったんだ。いい出来だろう? まだ始めたばかりなのに優秀な子だよ」「弟子? お前が弟子を取ったのか? はぁー……長生きするもんだな」ダーウィンがぐるりと体を回すと俺の方を見る。視線が交わると、初めてダーウィンという男の瞳を見た。暗く、深く何を考えているかまるで分からない瞳を。俺はその瞳から目をそらせずにいた。「ほーう。流れ人か。いいなお前」「……」ゆっくりと俺の方に近づいてくるダーウィン。怖い。出来れば近づきたくない。来ないでほしい。だが動けない。じっと視線はダーウィンの瞳からはなせず足も動かせないでいた。そんな時、シロが俺の前に出てナイフをダーウィンに突きつけた。「……来ないで」「……大した忠誠心だ。いい奴隷だな。それで、そっちもいい女だ。どうだ。そいつんとこ辞めて俺のところに来ないか」「イヤ」「お断りします」「駄目に決まってんだろ!」っざっけんな!ウェンディとシロに何言ってんだこいつ!怖いとか怖くないとかそんなの関係あるか!「おいおい。瞳孔開いてんぞ。冗談に決まってんだろ」「二度と言うな」「わあったよ。怖い顔すんなって。お前やっぱいいな。さっきまでびびってたくせに。レインリヒ、いい拾いもんだな」「当然さ。私の弟子なんだ。勝手に手出すんじゃないよ」「おー怖。残念だ」そういうとダーウィンはダーダリルのもとに戻っていく。「さて、話をまとめるとお前は完膚なきまで完全に負けた挙句癇癪を起こしてわめき散らしてるってとこか」「ち、父上? あんな奴らのことを信じるのですか!? 息子のボクよりも!」「って言ってもよ。証拠もあるし、もうお前言い訳できなくね?」「父上は、息子の、ボクの言葉が信じられないのですか!」「血縁があるわけでもねえしな……。まあなんだ。お前は面白いから放っておいたんだが、こうも迷惑かけられちゃなー……」「そんな……。で、では一緒に奴らを殺しましょう! 奴らさえ居なければボクは負けていません! 勝負自体を無くしてしまえばいい。そうすれば父上にご迷惑はかかりません!」無茶苦茶だ……。こいつどれだけ根っこから腐ってんだよ。と、思った瞬間、先ほどまでの寒気を遥かに超える嫌な感じがこの場を一瞬で包み込んだ。「ぁ゛あ゛!?」