「終わり」「ご主人様!」「大丈夫だよ……」そういって鞘から口を離し、地面に横たわると回復ポーション(中)を呷る。傷口に直接かけても、飲んでも効くんだから便利だよな回復ポーション。傷跡はアイナが清潔な布で血を拭き取りながらゆっくりと回復ポーションをかけていってくれたのでどうにかうまくいったようだ。綺麗に、とは言わないがこれで痣は残っていない。自己犠牲の精神なんて、俺には似合わないと思うがどうにも変なエンジンがかかったようにこんな事をしてしまった。でもこんなのは今回限りと願いたい。正直、二度とゴメンだ。「主、ごめんなさい」「泣くなシロ。大丈夫だから。ごめんな」終始辛そうな顔で俺を傷つけていたシロ。不本意だよな。ごめんな。でも、ありがとうな。「んーん。主の命令だから」本当に、ありがとう。俺はいい子を貰ったよ。身体を起こし、シロをぎゅっと抱きしめる。ウェンディが無言で俺の傷に回復ポーションに漬けた包帯を巻きはじめた。怒っているようだが、まあ当然か……。「怒ってる? よな?」「ご主人様がどうしてここまでしなければいけないのですか……」「ごめん。これしか思いつかなかった」「回復ポーション(大)を飲めば治ったかもしれません、もっと上のポーションを使えばよかったかもしれないじゃないですか……」「あー……持ってないから思いつかなかったな」「どうして、私を外に出したんですか?」「ウェンディは止めるだろうなって」「当たり前です! ご主人様が傷つくのを黙ってみていられるわけありません!」「まあ、でもシロは責めないでくれよ?」「嫌です! シロもシロです。どうしてご主人様を傷つけるような真似をしたのですか!」「……」「シロは俺の頼みを聞いてくれただけなんだ。な?」「それでも! それでも止めるべきでした!」