「とにかく、これが神殺しの剣だというのなら、魔法の効かない相手でもやりようがある。それに、このマッチがあれば……」 そう言って、先程まで顔色が悪かったセキさんに多少色が戻る。不格好な短剣だけど、神殺しの剣が手元にあるということで、ほんの少しばかりでも安心してくれたのかもしれない。 私はアズールさんのことを考えるのを一度やめて、神殺しの短剣と、マッチでの火攻めについて考えを巡らす。 この二つがあれば、魔法が効かない魔物相手でも、やれないことはないような気がする。 ただ、リュウキさんを怪我させたという魔物がどんな魔物なのかがまだ分かっていないので、何とも言えない。 リュウキさんに怪我させる相手。もしかしたら、というか絶対厄介な相手だ。 例えば、魔物が大きすぎたりすると、マッチの炎だってすぐに回らないし、クワマルさんが作った下手くそな神殺しの短剣じゃ、魔物に致命傷を与えられない。 色々考えることは多いけれど、まずは、リュウキさんの無事を確認してからだ。「とりあえず、急いでリュウキ君がいる村まで戻るわよ」 コウお母さんがそう言ってくれたので、私たちは揃って頷いた。