部屋に行った俺達は、現在俺のベッドの上で並びあって座っていた。 俺はアリスさんと離れた所に座ろうと思ったのだが、アリスさんに横に座るように言われたのだ。 Aさん事アリスさんに頭が上がらない俺は、言われるがままにするしかなかったという訳だ。「とりあえず――よく頑張った」 ベッドに一緒に腰掛けていると、アリスさんがそう言って俺の労をねぎらってくれた。「ありがとうございます」「うん……。正直……今回は驚いた……」 俺がねぎらってくれたお礼を言うと、アリスさんは笑顔を浮かべてそう言ってきた。「何に驚いたんですか?」 多分俺がアリアのインサイダー取引の証拠を手に入れた事についてだとは思ったが、一応聞いておいた。「理性を保っていながら……まさか犯罪に問われる行為を……あんなにするなんて……」「すみませんでした!」 アリスさんに犯罪行為の事を言われた瞬間、俺はすぐに頭を下げた。 やはりこの人は、その事を怒ってるのだろう。 だから、まず最初にその言葉が出てきたんだと思う。「なんで……謝るの……?」 しかし俺が謝ると、当のアリスさんはキョトンっとしていた。「え……? だって、俺がやった事は許されない行為ですし……」「まぁ犯罪だからね……。でも……アリスはよくやった……って褒めてる……」 俺はアリスさんの言葉に首を傾げる。 まさか、俺の行為を肯定されるなんて思わなかった。 俺が戸惑っていると、アリスさんが『ふぅ――』と大きく息を吐き、そこからアリスさんの雰囲気が変わった。「確かに世間から見れば、カイは駄目な事をした。それは罪に問われても文句を言えない事」「はい……」「だけど――カイは、金髪ギャルを確実に助けるために、そうした。そして、誰かを貶める為に違法行為に及んだわけでもない。そもそも、アリアの方が先に違法行為をしようとしていたんだしね。寧ろ、あの時に確実に勝つには、ハッキングでもして裏をとるしかなかった。誰かを助けたいんなら、カイがした事が正しい。本当に助けたくてその手が見えてるのなら、リスクに退いたら駄目。だから、カイがやった事は立派」 アリスさんは真剣な瞳で、俺の事を見てそう言ってくれた。 しかし、俺は自分がした事が正しかったとは思えなくなっていた。