フローラは手を動かし、ようやく顔を洗い始める。(まったく。けど、アマカワ卿から頂いた薬が効いているみたいね。明らかに顔色が良くなっていたもの) 湯船に浸かりながらフローラを眺め、やれやれと思うクリスティーナ。しかし、その口許はやわらく微笑んでいた。 そのまま一分ほどフローラの様子を見守ると――、(髪は洗ったのだし、湯につけない方がいいのかしら?) クリスティーナは不意に自分の髪を手で掬すくい取ると、そう思った。その考えは間違っておらず、本当は湯船に髪をつけない方がいいのだが、そこら辺の知識は男性のリオには欠けていて説明されていなかった。 湯の表面には彼かの女じよの長い髪がぷかぷかと浮かんでいて――、(タオルで固定しましょう) そう思って、おもむろに立ち上がる。しかし、すっかりのぼせてしまったのか、眩暈めまいを覚えてしまった。「っ!?」 クリスティーナは足で身体を支えることができず、じゃばんと音を立てて再び湯の中に座すわってしまう。(な、何?) 困こん惑わくするクリスティーナ。これまでの人生でのぼせるという経験が皆かい無むだったため、不安を覚える。「お姉様?」 ちょうどお湯で髪と身体を洗い流したフローラが異変に気づく。立ち上がったかと思えばそのまま腰こしを下ろしたクリスティーナを見て、声をかける。「ちょっと眩暈がして……」「え!? 大だい丈じよう夫ぶですか?」