はじめに
『負け犬の遠吠え』(講談社)という本を出した時、様々な反響が寄せられた中で、意外に多かったのが、
「私は結婚しているのですが、子供はいません。こんな私は、負け犬なのでしょうか?」
というものでした。
私はこの本の中で、「未婚、子ナシ、三十代以上」の人を、負け犬と定義しました。ですから、「子供がいよ
うがいまいが、結婚しているなら勝ち犬に決まっているじゃないの」と、その手の質問に対して思っていたので
すが、今考えるとわかります。「結婚しているが子供はいない」という状況に、いかにその人達が〝負け感〟
を抱いていたかということが。
私は当時、結婚さえしてしまえば、人は「宿題は終わった」という気分になるのだろうと思っていたのです。
しかしどうやらそうではないらしく、結婚した人には「子供はまだ?」というプレッシャーがかかる。一人目を産
んだなら、「二人目は?」というプレッシャー。二人以上の子を持って初めて、結婚は完成したと見なされるら
しいのです。