俺が部屋に入れなくなった日から、咲姫は拗ねてしまっている。 その理由を聞いたら、『放置プレイとか、本当海君はドSだよ……』って余計に頬を膨らませた。 そのうえ、どうにかこうにか俺の部屋に入ろうと、我が儘を言うのだ。 それに食事時の元々の咲姫の席は、桜ちゃんの横の席だったはずなのに、いつの間にか俺の横の席に移ってきてるし……。 ……学校では冷徹美少女が、家では拗ねて頬を膨らませている姿を学校の連中が見たらどう思うだろうか……。 というか、もう桜ちゃんより咲姫の方が妹にしか思えない。 なんで、こんなかまってちゃんになったんだよ……。 ………………凄く可愛いんだけどな……。 しかし、今の俺は咲姫に構ってる余裕が無い。 アリアが動かないのなら動かないで、別の事をしなければいけないのだから……。「――ねぇ海君」 俺が咲姫の事に頭を悩ませていると、咲姫が俺の名を呼んだ。「どうした?」「今回のテスト――勝負しよ!」 咲姫はいきなりそんな事を言い出した。「……テスト勝負……? 俺とお前が……?」 俺は咲姫のあまりの提案に、驚きを隠せなかった。 なんせ、咲姫は首席で入学して以来、トップから落ちた事がないのだ。 そんな奴が、数学以外平均点くらいしかとっていない俺と、勝負がしたいと言い出したのだ。 ……結果なんてやる前からわかるだろ、これ?「そう! そして負けた方が、一つだけ相手の言う事を聞くの!」 なんだか咲姫は目をキラキラとさせていた。 これはあれだろうか? 相手をしない俺に対する復讐をするつもりか? ……なんだよ、その理不尽展開は……。「いや、負けるってわかってるのに受けるわけないだろ?」 当然、俺は拒否をする。「いいじゃんそれくらい! その代わり、海君がどれか一つの教科で私に勝てたら、海君の勝ちでいいから!」 咲姫はまるで縋すがりつく様にして、そう言ってきた。 あぁ――咲姫ってそう言えば、俺の数学の点数知らなかったな。 俺は、咲姫がどれか一つの教科でも勝てたら良いと言った事により、勝負を受ける事にする。 なんせ、数学においては負ける気がしないからだ。「よし、それなら受ける」「本当!? テストが終わってから逃げるのは駄目だからね!」「あぁ、わかってる」 俺が頷くと、咲姫は凄く嬉しそうにしながら、勝ち誇った笑みを浮かべる。 うん、喜んでるとこ悪いけど、多分これ俺の勝ちだぞ? なんせ、数学は百点以外の点数をほとんどとった事がない。 まぁ勝負に絶対は無いが、余程のことが無い限り負けないだろう。 丁度良い息抜きになるし、咲姫に何をさせようか? 最近困らせられてるから、涙目になるような目にあわせてやりたいな……。 俺は昼飯を食べながら、そんな風に咲姫に何をさせるかを考え続けた。 ……なんか俺、下種げすキャラみたいだな……。 ま、まぁ、漫画みたいな変な事をさせなければいいよな!