「はつ」「ヒルデガルド!」「は、はい!」突然、名を呼ばれ、ヒルデガルドが慌てたように直立不動の姿勢を取る「ジークルーネに関して、こちらにはまだ何も報告は届いていない。川に流されたというのさえ初耳だった」「…そうですか」ヒルデガルドが落胆したように声を落とす。そんな彼女にリネーアは毅然と言う。「だが、《鋼》最強の『最も強き銀狼」が、この程度でくたばるはずがない。きっと生きている」「そ、そうですよね!」「ああ。とは言え怪我ぐらいはしているかもしれない。お前は急ぎ下流に向かえ。お前の鼻と耳は特別製だと伝え聞いている。捜索にはうってつけだ」「ああーっ!そ、そうだ、なんで気づかなかったのよ、あたし!本陣になんか別のやっ向かわせてもよかったんだ!」