「ふふ、逃げずにちゃんと来たじゃない」 勝負の決着がつく日――俺と雲母が約束の地を訪れると、アリアが勝ち誇った笑みを浮かべた。 その横ではアリスさんが気怠な雰囲気を出しており、前にも居た護衛のお姉さんが、アリスさん達から離れた所に立っている。「逃げるわけないでしょ」 俺の横を歩いていた雲母が、そう言ってアリアを睨む。「ふ~ん……で、そいつは誰?」 アリアは俺の事を指さしながら、怪訝な表情をする。 前に会っているが、あの時は髪型が今と違った。 今の俺は普段と同じ、前髪で目を隠す髪型だ。 わざわざ髪型をセットする必要は無いと思い、そのままで来たのだ。「カイ……」「え!? こいつ、あのショッピングモールに居た男なの!? 嘘でしょ!?」 アリスさんが俺の名を呟くと、アリアが驚いた顔でアリスさんを見た。 そんなに驚く事なのだろうか……? まぁそんな事はどうでもいいか。 それよりも、俺は早く結果が聞きたい。 何故KAIの関与を気付かれたくないのに、俺がここに現れたかと言うと――俺にもここでやる事があるからだ。 それに、俺はあのショッピングモールでアリアに会っている。 そして俺が雲母と似た様な格好をしていたアリスさんに間違えて声を掛けた事で、俺と雲母が知り合い――というより、一緒に遊んでいた事をアリアが気付いている可能性が若干ある。 もしアリアに知られていたとしたら、俺にも疑いの目が向くだろう。 寧ろ、この場に現れなかった方が疑惑を強めるかもしれない。 だから、俺はこの場に姿を現した。「それじゃあどうしようかしら? まぁわざわざ結果を確かめる必要もないと思うけどね。だって、どうせ私の勝ちだもの」 アリアは勝ちを確信したまま笑みを浮かべる。 こいつ……さっきからフラグを立てまくりだな……。 俺は自信満々なアリアを見て、そう思った。「じゃあ、あんたから結果を出しなさいよ」 雲母は強気に、アリアに結果表示を求める。「ふふ、じゃあスッパリと斬首ざんしゅしてあげる。はい――これが私の結果よ」 アリアはそう言ってスマホの画面を見せてくる。 斬首と言ったのは、雲母の人生をこれで終わらせるという意味だろう。 本当、救いようのない馬鹿だ。 アリアのスマホには――『304,000円』という数字が映し出されていた。 これは現在アリアが持つ株の総額だ。 もうこの金額は、今日変動する事は無い。 知識が何も無いと言っていたのに、わずか二週間で二十万と少し増やしたという訳だ。「あ、あんた株の知識が無いって言ったのに――なんでそんなに増えてるの!?」 雲母が戸惑いを隠せない様子でそう叫ぶと、アリアは得意げに語り出した。「ふふ、そう、私は株の知識が無い。だから、株の知識がある人間に全て任せようと思ったの。ただ、私は社員の事なんてよく知らないから、そこに居るお姉ちゃんのお付きに人選を任せたのよ。すると、私が担当する会社じゃないけど、平等院財閥の系列会社に、株でたくさん金を稼いでいると自慢している男が居たらしくて、そいつに任せる事にしたらしいの。今回の資金と株で儲けたお金は全て上げると伝えさせたら、大喜びで引き受けたそうよ?」 アリアは白々しくも、そう告げる。