「アズール殿に折り入って頼みたいことは、リョウ様の尊い旅路のご様子を紙に記して頂きたいのでございます」 そう言って、タゴサク殿は、取り出した紙の束とインク瓶を私に差し出す。 私は勢いにのまれて思わずそれを手に取った。「旅路の様子を、記す?」「ええ、さようでございます。アズール殿にはどこまで話していいか……ふむ」 そう言ってタゴサク殿は今度は本棚から一冊の冊子を持ってきた。「見ていただけますかな」「は、はあ」 私はそう言って、冊子を開いた。 金色に光る赤子の話から始まるウヨーリと呼ばれる天上の神の御使い様が、これまでルビーフォルンにさずけた恩恵の数々が壮大なる物語とともに記されていた。