鞄を取りに川原へ戻ると、僕はそこで立ち止まる。 荷物のすぐそばで3人は待っていたのだ。 驚きはした。そして同時に予感もしていた。 騙したね、とウリドラを見ると彼女の瞳は「お互い様じゃ」と物語る。確かにそうだ。僕は少女らを騙していたのだから。 約束をしていたのだ。 何かをするときには必ず相談をすると。 しかし今回は相談することなど到底無理だった。 気絶したあの男、ザリーシュを最も確実に始末できる方法を選びかけたのだ。それは同時に皆を騙したことになる。 後ろめたい気持ちで、僕はじっと立つしか出来ない。 半妖精エルフは陽光により長い髪を輝かせ、透き通るような肌、そして紫水晶へ似た瞳……は、やはり睡眠不足の疲れを見せていた。 雨上がりの空は綺麗に澄んでおり、水分を多く含んだ風を吹きかける。今の気持ちとは裏腹に、とても清々しい空気だ。 ざくざくと砂を踏み、エルフの少女はゆっくりと僕へ近づく。その瞳は何度も泣いたのか、腫らしている様子に胸は鈍く痛んでしまう。「おかえりなさい」「ただいま」