「あ~はいはい。俺にやらせようっていうのか? 要は、その反発している商人達の筆頭を潰せばいいんだろ? なんていう商人だ?」「ソガラムという商人だ……」 え~? そいつって、プリムラの店に嫌がらせをしてた商人だろ? 無頼を沢山雇っているらしいからな、それなりの戦力を持っているのだろう。 子爵領が戦力を持っていないために、そいつ等を当てにする事も多かったようだ。 プリムラの店に嫌がらせをした連中に、処分が甘かったのが不満だったが――そういうカラクリがあったのか。 つまり、処分したくても出来なかったわけだ。 まさしく、持ちつ持たれつの蜜月の関係だったらしいが、ハネムーンは終了した。 役目が終わった役者が、出ずっぱりでは劇が進まない、そろそろ退場の時間。 そして、その時はきた。「ああ――解った。それなら引き受けよう」 ソガラムって奴にはムカついていたが、騒ぎを起こすと色々と面倒――どさくさ紛れの闇打ちでもしてやろうかと、あれこれ考えていたのだが、子爵様の許可があるなら遠慮する必要はないよな。 たっぷりとお礼をしてやる事にして、街の事情に詳しいニャメナから情報を仕入れる。「へへ――旦那ぁ、やっぱりやるのかい?」「子爵様から、やっていいって許可を貰ったからな」「ウチも行くにゃー!」「私も!」「おいおい、魔法の出番は無いぞ。街の中で魔法を使ったりすれば、大惨事になってしまう」「む~」 アネモネは不満そうだが、憤怒の炎では火事になるし、爆裂魔法では周囲に被害が出てしまう。 江戸時代の日本のように、木造家屋ばかりではないので大火になる事はないが、消火技術が未発達だ。 被害が大きくなるのが目に見えている。それでは子爵に批判が集まってしまうだろう。「あの、お手柔らかに頼むよ……」 子爵様直々にそう言われてしまった。 まぁ、あえて人死を出す必要もない。コ○ツさんで店を更地にするぐらいで許してやるつもりだ。 だが、子爵を初めマロウさんと爺さんも俺のコ○ツさんを見たいと言う。 子爵夫人とプリムラから、それぞれ聞き及んでいて実物を見てみたいのだろう。「コ○ツさん召喚!」 地響きを立てて、黄色い巨体が地鳴りと共に落ちてくる。「「「おおおっ!」」」「これが、そうか!? 用水路の普請をあっという間に終わらせたという」 子爵が驚いているのだが、近くまで寄って鋼鉄の車体をぺたぺたと触っている。中々好奇心に溢れている御仁だ。