彼女が言うとおり、気がつけば街は姿を変えていた。 互いに意識し合い、歩みあっているうちに少女を迎えてくれたのだ。「なんだか不思議……まるで一条さんみたい。会うたびに印象が変わっていって、今日はとても優しかったの」「魔導竜もそうだよ。最初のころは敵意しか無かったのに、いつの間にか君と歌を歌っていた」 こくんと一つ頷かれ、そして安心しきった表情を見せてくれる。恐らくは、己もまた恵まれた環境にいると気づいたのだろう。 柔らかく温かい小さな身体は、ぐりっと頭をこすりつけて「ふう」と熱っぽい息を吐いた。 さて、そろそろマリーにも映画というものが分かってきたらしい。 起があれば承があり、そして転は必ずやってくるという事に。 不穏な夜の雰囲気と、そして思わぬ不幸が訪れて物語は一気に加速する。積み上げてきたものを濁流のように溢れ返させるのは、ひょっとしたらジェットコースターに似ているかもしれない。ただし、序盤ではなく終盤にやってくる急落下だ。 もしも失敗をすれば、街は姿を変えるだろう。 それまで築いてきたものが、あっさりと無くなってしまうだろう。