勝己がこうして探してくれている。「どこに隠した」と出久の目を覗き込む。島の赤い花を思い出させるような深い色の目がどこまでも覗きこんでくる。心の奥の奥に入ってこられてしまう。「そんなの、・・・忘れちゃっていいから」とつぶやいたら、思いがけず涙がぽろりと溢れてしまった。しまった、とそれを拭うより早く勝己の舌がそれをぺろりと舐めた。「なっ」驚いて身を引こうとするが離してもらえず続け様に唇を塞がれた。「んっ」情けない泣き声しか出せない。薄いのにかっと熱い勝己の唇が触れている。そこがじんじんして涙がどかどか馬鹿みたいに流れて止まらない。