まあ、タゴサクさんが、目の届かないところにいるのはそれはそれで恐ろしいけれども……。 ああ、そういえばあの時のタゴサクさんはすごかったな。 タゴサクさんの奇行を思い出して、思わず眉をしかめた。 神殺しの剣のこともあり、亀の魔物を倒し親分と遭遇したあの後すぐに、一度、ルビーフォルンの屋敷に戻ったのだけど、その時のタゴサクさんの出迎え方が……。『ウヨ……リョウ様ー! ああ、リョウ様ー! リョウ様ー!」』 と、私の名前を咽び泣きながら連呼したタゴサクさんの顔は涙と鼻水とよだれみたいなものでべとべとだった。 しかもそのべとべとの顔で、私の足のつま先に顔をこすりつけようとしてきたので、俊敏な動きでもってそれを避けた。