ウェンディにひとしきり怒られた後俺は買ってきた材料を取り出して料理をし始めた。一人暮らしが長いからといって料理が出来る! と自信を持っていえるほど出来る訳がない。簡単な炒め物程度なら作る事もあるが、赤ワイン煮なんて知識でなんとなくでしかしらないのが普通だと思う。とりあえずブイヨンは……作る時間ねえな。仕方ないので買ってきたインスタントの味付き粉を使おう。お肉は先に焼き目を入れて塩、胡椒で下味を付けてオニオルと一緒に軽く炒める。後はー赤ワインとトメト、オニオル……、あーめんどくさいトマトと玉ねぎを入れて牛肉を煮込み始める。蜂蜜も入れて、味付き粉を水で溶かして混ぜると、美味しそうな風味が立ち上ってきた。味見をしてみると悪くはなさそうだ。だがやはり肉はホロホロにはなりそうにはない……。錬金で圧力鍋を作れないだろうか。いやでも危ないか……。でもこの世界魔石もあるからな……。んー……煮込み時間が足りない……。どうしよ。でも匂いは悪くないし……。今日はこのままぎりぎりまで煮込めばいいか。あとは塩水につけたモイのスライスを取り出して水気を取る。オリブルの油を底の深めのフライパンにたっぷりと入れて取り出す用の金網を先に沈めておく。「ああ、揚げ物にオリブルの油をお使いになられるのですか?」「まずかったか?」「いえ、高い物ですから一気にそんな使ってしまうのかと心配になりまして……」「んー。いや錬金の再構築で不純物を取り除けば再利用できるんじゃないかなって」「なるほど。それならば可能かもしれませんね。それにしても贅沢です」「再利用可能な高級油だったら最高だな」油が温まり菜箸を突っ込むと気泡が立ち上ってくる。大体この温度だな。火の調整をして温度を適温に保ちつつスライスしたモイを入れていく。一気に入れると油の温度が下がるのである程度の量だが、時間は約二分程度なので簡単だ。あー……。塩ふるだけで完成とかこれ完璧だよなー。