「あら、その心遣いには感謝をしましょう。そうね、どうやってこの気持ちを伝えたら良いかしら」 うーんと悩みつつ少女は苺をもうひとくち噛む。そしてクイクイと袖を引いてきたので顔を近づけると――かぷりと唇を食まれてしまった。 じゅわりと甘酸っぱい果汁が伝わり、柔らかな唇から一滴したたる。あまりの事に僕の心臓は大きく跳ねた。 細い指は胸のシャツを掴み、そしてより近づくよう引き寄せている。 不意打ちにもほどがあり、今もぷるりとしたマリーの唇を感じているせいで目眩を起こしそうだ。驚く僕の視界には目を細めた少女がおり、もうすこし口を開けてと囁きかけてくる。「うっ……く」 誘惑に負け、すこしだけ唇を開くと、かぽりと少女のものと重なる。 少女の唇の裏側にある感触に、かあっと全身の熱は高まった。それはいままで触れたことが無いほど柔らかく、甘く甘く、とろりと脳まで溶けてしまいそうなほど瑞々しい。 くらりとし、気がつけば僕はベッドへ倒れていた。「……あの、マリーさん?」「んふ、私からのお礼。気に入っていただけたかしら?」 気に入る、気に入らない以前に……甘くて美味しかったです、なんて言えないでしょう。外見は少女だというのに、年齢差が70年近くあるせいで弄ばれてしまうのか。