クリスティーナは即そく答とうする。「精霊術はその術式がやっている世界の改変作業を人間が自ら行うものなんです。その修行に数年の時間がかかると考えてください。他に廃れた理由があるとすれば、戦争のような場面では一律に同じ事象を引き起こせる魔法の方が軍を率いる指揮官としては使い勝手はいいから、とかでしょうか」「なるほど……」「あとは、今はそういうものだと聞き流してほしいのですが、術式を体内に取り込むと精霊術は使えなくなります。学院にいた頃に私が魔法を使えないという話が広まっていたと思うのですが、それは既に精霊術を使えたから、というのが理由です」 本当は精霊であるアイシアと契けい約やくしていたから当時のリオは術式契約に失敗して魔法を習得することができなかったのだが、精霊のことについてまで話をするとややこしくなるのであえて説明は割かつ愛あいした。「そうだったのですか……」 目をみはるクリスティーナとフローラ。「と、まあ諸もろ々もろの話をするにあたって説明が必要になりそうだったので精霊術について語りましたが、だいぶ脱だつ線せんしてしまったので、王立学院で私が崖から落ちた後のことについて話を戻しましょうか」 話はようやく本題へと移っていき――、「崖から落ちた後、私は精霊術を使って地面に着地しました。それですぐに崖の上に上ってみたのですが、誰がフローラ様を突つき落おとしたのかという話になっていまして……」 リオはクリスティーナ達たちが知らない当時のことを語った。精霊術のことは教えたので、崖から落ちて無事だった理由は詳しよう細さいには語らない。「……あの時、貴方あなたもあの場にいらっしゃったんですね」 クリスティーナは当時の現場の会話内容を思い出したのか、苦々しい顔になる。「ええ。出るに出られず、木こ陰かげに潜ひそんで話の流れを観察していました。私がユグノー公爵のご子息を突き飛とばしたから、それによってフローラ様が巻き込まれ、そのまま崖から落ちることになったと、他ほかならぬユグノー公爵のご子息が主張しておりましたね」 リオは怒おこっているというより、呆あきれを滲にじませて苦く笑しようする。すると――、「…………申し訳ございません」「わ、私からも謝罪いたします」 クリスティーナとフローラが青ざめた顔で謝罪した。