「大丈夫よ。何があってもアタシがいるし、もし、どうしてもリョウちゃんの力が必要になった時は、その時は……また、一緒に考えましょう」 コウお母さんにしては、少しばかり迷いがある言葉に、私は頷いた。 その時に決める。うん、それがいい。何事もなければ魔法だって使わなくてもいいのだし……。 でも、少しだけ覚悟を決めていた。 東に向かえば向かうほど遭遇する魔物の数、怪我をしてしまったらしいリュウキさん、助けを求めるために一人で飛び出してきた男の人。 今向かっているリュウキさんが臥せっている村の現状は、今までのように軽いものだとは、思えない。 そのまま休む暇もなく、騎士の人に教えてもらったリュウキさんが臥せっている村まで全速力で進む。 やっぱりなんだかんだ息子さんの一大事ということで、セキさんは少しピリピリしていた。 そこまで距離が離れていない場所だったので、思ったよりも早くその村に到着して、村の状況に思わず顔をしかめる。 畑は荒れ果てて、家は朽ちている。人は見当たらない。 これは……と、嫌な想像をしそうだったけれど、案内人の騎士の人が薄汚れた建物に私たちを案内すると、床の板をめくる。 そこには、階段があった。地下への隠し通路みたいなものか……。 今まで見てきた村の隠れ家は、手作り感とかがすごかったけれど、今回はしっかり加工されている感じだ。おそらく魔法で作られている。リュウキさんあたりが整備をしたのかもしれない。