そして少女の手は何かを求め、宙でゆらゆらと揺れる。 つい先ほど「いつ手を握ったか覚えていないわ」と彼女は言っていたけれど、本当に無意識で僕を求めているらしい。当たり前のように手を重ねると、その細くて女の子をした指から握られる。やはり気づいていないらしく、僕の顔を見て「何かしら」と小首を傾げてくる様子だ。「いやいや、良いんだよ。僕としては大歓迎だからね」「一体何のことを言っているの? それよりもほら、混んでしまったら大変よ。早くなかに入りましょう」 そのような賑やかさで、熱川バナナワニ園という看板のついた建物へと歩き始める。 いやー、やっぱり地味だなぁ。この安っぽい建物は。 などと思いながらも、何か楽しいことが待っているだろう予感に僕の胸は高鳴った。