「歩ける? 大丈夫?」
「うん、なんとか……。あの、ありがとう、ございます……」
「いやいや、やっぱ風に当たるのが良いよ……」
俺は少女の手を引いて、駅のホームにあるベンチに腰を掛けた。
「そういえば、名前聞いてなかったね。名前は?」
「吉森沙智子」
「沙智子ちゃんか……。何年生?」
「3年生……」
他愛無い会話をしながら、沙智子ちゃんの背中をなで続ける。
「頭、いたい……、ずきずき、って……」
「だ、大丈夫っ!?」
いきなり体を預けられてドキっとしてしまった俺は、もうまともな判断が出来な
いようになってしまっていた。
自分の子供のように、沙智子ちゃんを抱き締めて額に手をあてる。
「熱は、ないみたいだけど……。頭痛かな……」