「いかがなさいました?」「すまぬのう、ケンイチ。辺境で仲良く暮らしておったのに、王家のゴタゴタに巻き込んでしまい」「こうならぬように、なるべく力は見せぬようにしていたのですが、私も調子に乗りすぎました。それに、リリス様の味方になると口に出したのですから、その言葉が偽りにならぬように致しますよ」「其方に感謝する」 そもそも力を見せすぎて王侯貴族の興味を引いてしまった俺が悪いのだが、こうなってしまったのは仕方ない。 だが、このまま王都へ戻ると、王家の力を使ったという事で、また揉めそうだな……。 荷物と家、そしてテントを全部アイテムBOXへ突っ込むと、ハ○エースを召喚する。「さぁ、ソバナへ行くぞ! 皆乗り込め!」「いくぜ~!」「山脈の向こうへ行けるなんて思ってみなかったにゃ」「こんなに長大な旅をするなんて、父でもなかったでしょう」「わ~い!」 王女は助手席に、メイドさん2人は後ろへ乗り込む。「マイレンさんも大変ですねぇ」「こ、これも仕事ですから……」「マイレンの事なら心配するな。妾に酷使されると喜ぶ奴じゃからな」 彼女が頬を赤らめているが――まぁ、うすうすそんな感じはしてた。 最後にベルが乗り込んだのを確認して、スライドドアをしめる。「それじゃ、出発~っ!」「「お~っ!」」 聞こえてきたのは獣人とアネモネの元気な声だ。 だが、この先は地獄街道の下り。 安全運転を心掛けよう。