きょとり、という不思議そうな瞳でシャーリーから見つめられてしまった。 たぶん誰よりも戦闘を楽しんでいるだろう僕が、椰子の木の影でのんびりとくつろいでいる事が不思議なのだろう。 皆の前なので、彼女はいつもの半透明ではなく実態のある姿をしている。今日はピンク色のパーカー、それにシャツと短パンというラフな格好で、水着を選ばないのは単純に水が苦手なのだとか。「海よりも、こっちの方――ルンのことが気になってね」 そう言って、僕は目の前に浮かぶ大きな物体へと視線を移す。 乾いた砂色をした胴体、鳥が風に乗ったときのよう翼を広げたこれは魔石「ルン」という存在だ。以前は空中で見事にバランスを取っていたが、いまはフラフラと危なっかしい。 彼女はしゃがみこんで様子を見ているけれど、その格好だと少しばかり太ももが眩しくて気になるね。そういえば何故か膝枕をしてもらったこともあったか。ふかふかの感触を知っているだけに、つい目を向けてしまうのかもしれない。 青空色の瞳がこちらを向いたので、僕は小さく頷いた。「うん、この間の一戦で、カルティナにやられた時の影響だね。猫族ミュイに応急処置をしてもらったけど、まだ治るのは遠そうだ」 ときどきこうして様子を見ているが、また飛べるようになるのは先だろう。翼の先には幾重もの透明な羽があり、細かくひび割れているのが分かる。 そう考えていると、彼女は指先を近づけてゆく。そして白いもやのような空気を発すると、ゆっくりとひび割れは消えていった。「あ、シャーリーは魔石も治せるのか! すごいね、どんな治癒術士でも無理だろうに!」 そうか、前に僕も治してもらったっけ。生命と魂の循環がどうのと言っていたけれど、あれは人に限った癒しでは無いらしい。 僕の驚いた顔を見れたのが楽しかったのか、彼女はにこりと笑う。海の景色のおかげか機嫌も良さそうで、ついでに魔石も気持ち良さそうにルン、ルン、と不思議な音を辺りに響かせる。 と、そのとき水滴を垂らし、こちらへウリドラが歩いてくるのが見えた。 輝く太陽へ惜しげもなく肌を晒し、水滴まみれの肌、そして水をたっぷりと吸った水着というのは健康的で、彼女の魅力をより引き立たせるように思える。 後ろ髪をクリップでまとめ、頬を覆うように左右の黒髪を垂らしているせいか、いつもより若々しい印象だ。