「それって、私、知らない生徒と一緒に食事をするかもしれないという感じですか?」「きっとやる気が出ると思うよ」 とリッツ君は言うけれども、それはちょっとなぁ。 だって、女子生徒ならいいけど、男子生徒と食事って、なんかデートみたいじゃないか。 私緊張しちゃうし、なんか嫁入り前の貴族の娘がやってはいけない企画な気がする。「ミスコンの賞品は、それでもいいですけれど、ミスターコンは……」「確かに。一応リョウさんも嫁入り前の女の子だものね」 とカテリーナ嬢が言ってくれたけれど、どうして『一応』ってつけたんだろう。 一応じゃなくて、完全なる嫁入り前の乙女だからね、私。「そっか、そういえばリョウ嬢も女の子だもんね」 え、なんで今、『そういえば』とか今思い出したみたいな顔して言ってるのかな、リッツ君? おかしいなぁ、気遣い屋のリッツ君なのにそれは失言なんじゃないかなぁ。 私がじっとリッツ君を見ていたら、私の視線に気づいてリッツ君が、自分の失言に気付いたらしく、アハハと笑ってごまかそうとした。 笑ってごまかそうだなんて、そうはいくものか。 私はこういうのはずっと覚えているタイプ! そんなこんなで話し合って、結局、ミスコンの優勝者には私とのお食事券、ミスターコンは私のサイン入りグッズってことになった。 本当にこんなのでやる気が出るのだろうか。 私だったらいらないけれども。 しかし私はモーゼ使い……。最近の生徒たちの反応を見ると、行けないこともないのかもしれない。 恐い。なんかウヨーリ教みたい。大丈夫かな。第二のタゴサクが誕生したりしない? なんで私の周りってこんなことになるんだろう……。「そうか。ミスコンの優勝賞品は、リョウとの食事か……」 そう呟いたアランの顔は苦い。 アラン的には、それは微妙なんじゃないかって思ってるのかも。 よく考えればここにいるメンバーはランチとかよく一緒にいくし、やっぱり私との食事券だけじゃなくて、別の賞品も用意しようかな。 ちょうど今開発してる商品を、ミスコン・ミスターコンで選ばれるような人達に身に着けてもらうのはどうだろう。私としても自分の商会の商品の良い宣伝になる。