「これを4枚程差し上げますので。それならば、どんな大剣でも造る事が出来ましょう」「ううむ……よし! その話に乗ったぞ」「ありがとうございます。ああ、1つだけ注意すべき点が――その鋼材と他の物を混ぜないでいただきたい。性能が落ちますので」「解った」 残りの鋼材を3枚渡す。かなり重いが大丈夫だろうか。鋼材の値段は、しめて28万円……痛い出費だが口止め料として致し方無い。 シャングリ・ラから、40㎝ぐらいの麻で出来た巾着袋を買って彼に渡す――1300円だ。「これに入れてお持ち下さい」「これは、かたじけない」「騎士爵様、この鋼材の出処も、くれぐれもご内密に」「解った」 俺はテーブルと椅子をアイテムBOXから出すと、彼を誘った。「お急ぎでなければ、少々お話とお飲み物でも」「そうか――それでは馳走になるか」 さて、何を出したものか……「まさか、騎士爵に牛乳ってわけにもいきませんし――まだ昼前ですが、お酒でよろしいですかねぇ」 迷ったが、シングルモルトウイスキーから、グ○ンフィディックの12年350ml――2000円を選んでみた。緑色の瓶が綺麗だ。 すぐに【購入】ボタンを押しそうになったのだが、スクリュウ-キャップとかラベルとか拙まずいじゃん。 一旦家へ入ると、シャングリ・ラからコルク栓を購入してフタ代わりに、ラベルもアルコールを吹きかけて慌てて剥がした。 木の盆に乗せて、陶器のコップと水、そして酒瓶を一緒に並べて騎士爵様にお出しした。「強い酒なので、水で薄めてお飲み下さい。水は浄化して御座いますので」「ほう! これは美しい酒瓶だ」 椅子に座った騎士爵様が、緑色の瓶を覗き込むように見ている。瓶に映った自分の顔を見ているのかもしれない。