「アキラ、何をする! まさか、その得体の知れないものを食べるつもりなのか?」「うるせぇ! クレメンティーナ! これは穀物だってーの!」「そんな穀物があるものか!」 アキラに醤油を渡す。プラ製の容器に入っていて酸化しないと謳われているやつだ。「おっ! 醤油か! もしかして味噌もある?」「もちろんあるぞ」 彼に味噌も渡した。味噌も日にちがたつと悪くなることがあるが、アイテムBOXに入れておけば、それも防げる。 アキラたちの料理は彼に任せて、こっちも料理をしよう。 アイテムBOXから大型の圧力鍋を出す。「おい、なんだよ! 圧力鍋じゃねぇか! 売ってくれ!」「いいぞ。日本円で5万円だな。だけど、パッキンが死んだら、交換部品は手に入らない可能性大だぞ?」「その時はまた、ケンイチから買えばいいんだろ?」「それは構わんが、俺たちの家の近くに住むのか?」「どう考えても、ケンイチの近くにいたほうが便利だろ! こんなのが手に入るんだからさ」 アキラは、味噌と醤油を指さした。 この世界の豆でも、発酵食品を作れないことはないと思うが、多大な苦労を伴うだろう。 レイランさんとアンネローゼさんはピーラーで芋の皮を剥いている。 じゃがいもではなくて、この世界の芋だ。 じゃがいもみたいにはぜないし、少しもっちりしている。里芋などに近いかも知れない。 それ故、煮物にしたりスープに入れると美味い。 アキラは焼いていたトウモロコシを食い始めた。「うひょ~うめぇ! どうだ、アンネローゼも食ってみるか?」「はい!」 アキラがポキンと折ったトウモロコシを彼女に差し出すと、黄色の粒を指でもぎ、口に運んだ。 さすが元貴族、上品だ。まるかじりとかはしない様子。「これは甘くて美味しいです!」「アンネローゼ、こう見ても、こいつは麦の仲間なんだぜ?」「本当でございますか?」「縦にすると麦の穂に似ているだろ? 麦の粒が大きくなったものだと思えばいい」「まぁ、確かにそう言われれば……」 だが、それを見た女騎士がそわそわしている。「アキラ、私にも……」「なんだよ、クレメンティーナ。お前はキモいとか言ってたじゃねぇか! 俺のチ○○に負けた女騎士は、そこら辺の草でも食ってろ!」「なんだと! なんで私ばかり……」 マジでションボリした女騎士に、アキラが慌てた。