ポチッとな。「プリムラ、こんなのならあるが」 俺は、テーブルの上に落ちてきたカメオのブローチをプリムラに手渡した。「まぁ! 女性の顔が掘られているなんて」「ほぇ~、まるで生きているみたいだな」 ニャメナが、プリムラの横からカメオを覗きこんでいる。「人の顔が掘ってあるのは、意匠的に難しいか?」「いいえ、この石に掘られている方は、ユーパトリウム子爵夫人に良く似ていらっしゃいます」「おお、それなら――夫人のために特別に作らせましたと言って、金がたっぷりと取れるかもな」「その通りですわ」「「うふふふ……」」「なんかご主人様達が、悪い笑みを浮かべているぞ~」「いつも事にゃ」「まぁ、値付けは君に任せるよ」「解りました」 しかし領主の夫人と、もうパイプを作ったとはなぁ。 まぁ、カメオのブローチ1個ぐらいならいいだろう。 貴族の事は彼女に任せる事にした。 う~ん――なんだか、少々プリムラの元気がないのが気になるが……。 ------◇◇◇------「なんだって?」 プリムラ達を街へ送った後――畑仕事をしていた俺に、ミャレーが面白そうな事を言ってきた。「ダンジョンにゃ!」「ダンジョン? ダンジョンって地下へ降りる洞窟とかそういうのか?」「その通りだにゃ」 彼女は話では、ダンジョンには2種類あるらしい。 自然に出来た洞窟や風穴に魔物が住み着いたダンジョン。もうひとつは遺跡などの人工物に魔物が住み着いたダンジョンだ。 人工物のダンジョンの方は、過去の遺物や魔道具、魔導書等が見つかる事が多く、実りも大きい。 無論ゲームではないので、一度攻略されてしまえば、お宝が再ポップしたりはしないわけだが。 ただ長い時間を経れば、また魔物が住み着く可能性はある。 だが、お宝もなく魔物しか住んでいないダンジョンに潜る奴はいないそうだ。 そりゃ、この世界じゃ経験値もなく、レベルアップして強くなるわけじゃないからな。 魔物の素材も、それなりに金にはなるが、そんな危険を冒すよりは、お宝を探した方が効率が良いってわけだ。 彼女の話では、昨日見つけたと言う。