「いや、十分だ。これで我も、逃亡中の豹人という立場を気にせずトーカの役に立てる。礼を言う、エリカ」「どういたしまして。あ、大量の魔素を必要とする点だけは気をつけてね?」「トーカが傍にいなければ気軽には使えぬ、か……ところでエリカよ、この”2”の珠はなんなのだ?」「ああそれ? 副産物みたいなものだけど、試してみる?」 どこかエリカはもったいぶった態度だった。 悪戯っぽい目つきをしている。 まあ……結局、イヴの意向もあって試してみることにしたのだが――「じゃあ行くぞ、イヴ」 魔素を送り込むと、再びイヴが発光した。 ほどなくして、光のグニャグニャが収まっていく。 と、「なるほど、こうなるわけか……」 耳や尻尾、手脚の一部だけが豹人状態に戻っていた。 どうやら”2”は豹人と人間の割合が変化するらしい。「う、うぅむ……これはどうなのだ、トーカよ?」 イヴが複雑そうなテンションで俺に意見を求めてきた。「今後……”2”の出番はなさそうだな」「うむ、我も同意見だ……」 意見が合ったからかイヴはホッとした表情を浮かべた。 正直、俺にも”2”の使い道は思いつかない。 しかしエリカは、「あのさ……キミたちには、単に可愛いと思う感性って備わってないわけ?」 不服そうに、腕組みしていた。 そして、「おねえちゃん、なんだか可愛い……」「私も、悪くないと思いますが……」 リズとセラスには好感触らしかった。