「まぁ、そう言われるとそうなんだけどさぁ」『まったくお前いつになってもへタレだなぁ』 ドラちゃんひどい。『あるじのことはスイが守るから大丈夫!』 フンスと両腕のように2本の触手を上げるスイ。『よし、決まりだな。そのルバノフ教とかいう教会を潰したら、ロンカイネンという街に向かうぞ。出先で美味い飯にありつけないのは一大事だからな』『うむ、確かに。美味い飯が食えぬのは一大事じゃ』『うんうん、俺らにとっちゃ美味い飯ってのは大事だよな』『美味しいご飯は大切だよ~』 さすが食いしん坊カルテット。 美味い飯のためならどこまでもってか。「はいはい、分かりました。ロンカイネンの街にも行くよ」『ククククク、小国群との国境か。ちょうどいい』 フェ、フェルさんや、なんなのその黒い笑い。 何か悪巧みしてそうで不安になるんだけども……。「ちょっと、何がちょうどいいの?」『さぁな』 さぁなって、何企んでるのフェル~。◇ ◇ ◇ ◇ ◇ みんなとも話がまとまり、翌日は旅に出る準備に専念した。 せっせと旅の間の飯を作ったり、奴隷従業員のみんなに、また旅に出る旨を話して、その間に必要になりそうなものを渡したり。 奴隷従業員のみんなは、俺たちがまた出かけるって言っても慣れたもんだったけどね。 みんなを買い取ってから、そんなに経ってるわけじゃないのに、俺たちけっこう家空けてるからなぁ。 ま、みんなに任せていれば家も安泰でしょう。 それから、冒険者ギルドにも行って、旅に出る旨伝えたよ。 ゴン爺に乗って行くから、申請しておかないと大変なことになるからね。 それでも、さすがに「ルバノフ教本山の教会をぶっ潰しに行きます」と馬鹿正直には言えないので、目的地については「ロンカイネン他ちょこちょこ……」と言葉を濁しながら伝えてある。