「ユリウス、ノースポール男爵領というのは知っているかい?」「ダリアの向こうに、最近できた領でございますね。勿論もちろん存じております」「男爵は俺の知り合いだ。彼にも手紙を送ってやってくれ」「かしこまりました」 皆で食事をしていると、カナンがやって来た。「ケンイチ! 起こしてくれてもよいではないか!」「いくら起こしても起きなかったからな」「う~」 拗ねられても、俺の義務は果たした。 食事も終わったので、仕事を再開する。「そういえば、獣人たちの家がなかったな」 今は、ニャメナが使っていた小さな小屋に二人で寝泊まりしている。 昨日、購入したプレハブハウスをミャレーに見せてみることにした。 とりあえず、ログハウスの組み立てが終わるまで、これでしのげないだろうか? アイテムBOXから、グレーのプレハブハウスを出す。「ミャレー、お前の家ができるまで、これでしのげないか?」「にゃー! なんにゃ! 鉄の家かにゃ?」 彼女は、プレハブの外板をボコボコと叩いて、ドアを開けて中に入った。「にゃ! 中も広いにゃー!」 中は12畳だから、一人で暮らすなら十分の広さだろう。「どうだ?」「これ? 使っていいにゃ?」「まぁ、お前がいいというなら……」「やったにゃー!」「いいのか?」「もちろんにゃ!」 外に出ると、ニャメナもいて、俺をじっと見つめている。「旦那……」「もしかして、ニャメナもこれが欲しいとか?」 彼女が黙ってうなずいたが――まさか、これでいいと思わなかったよ。「これで、いいならもう一つ出してやる」 ミャレーのプレハブハウスを置き直して、その隣に並べた。「やったぜ!」「これは丈夫なんだが、欠点がある。外板が直射日光で熱くなるんだ」「それじゃ、ムシロでも載せるか?」「そうだにゃー」「ムシロか、ちょっと待ってろ……」 シャングリ・ラから、ムシロの20枚セットを1万5000円で購入。なんでも売っている、シャングリ・ラ、マジで神。 購入ボタンを押すと、ムシロの束が落ちてきた。