ふんがっ!」「……ポーアさん、筋肥大する必要はあるのかい?」「んー、やっぱり調整が難しいな。魔力の通り道を直線軌道で受け入れ易い公式にすればいいのかな? ならこっちを直結させて、ここを閉じてしまえば――――」「あれは聞こえてないって事かなシロ君?」「あーなったらマスターは手が付けられませんよ。でも――」「――でも?」「愚直に真っ直ぐに。大抵の事は成功しちゃうんです」 ポチがごちゃごちゃと何かを言っているような気もしたが、これで起動するだろう。「ふんがっ!」「おっ! どうやら成功したみたいだねぇー」「見事ね、快適といってもいいくらいだわ」 リーリアが俺を褒めるのは珍しい。 だが、ここ最近リーリアとの会話も、いや、皆との会話も増えてきた。 魔王が復活した今、あまり悠長な事は言っていられないが、悪い傾向ではない。 皆の安堵の声が耳に新しい頃、俺を見つけたガルムが酒の臭いと共にやって来た。「お、おう兄ちゃん! こいつぁアンタが?」「えぇ、この後ブルネアとレガリアにも届けようかと思っています」「ニ、ニヒヒヒヒ……そ、そうか! 兄ちゃん、アンタぁやっぱりイイ男だな!」「褒めても何も出ないですよ」「こういう時はよ? 褒める側が褒めた相手に何か出すもんなんだよ、先にジョルノたちの分を作ったが、兄ちゃんにはとびっきりのモン作ってやる! ニヒヒヒヒ!」 ん? そういえばガルムのヤツ何か手に抱えてるな?「そ、それは!?」「おう! 今頃気付いたかよ! まずはジョルノとリーリア、これを受け取りな!」 そう言って手渡したガルム。 金属の中に見える赤の斑模様。「軽いね、けどしっかりと肌に馴染む感じがするよ。それに……」 ジョルノはガツンと防具の胸元を叩く。「かなり強く頑丈だね」「いい仕事だわ」 着々と準備を整えつつある俺たちだが……はて? ガルムの言う「とびっきりのモン」ってのが気になるな?