ガッツポーズをしているアネモネに、ベルが黒い身体を擦り付ける。 アネモネは、しゃがみ込むとベルの身体に抱きついた。やはり、内心は凄く怖かったのかもしれない。「でも、丸焦げになるかと思ったが魔法があまり効いてなかったな……」「魔物は、魔法にある程度耐性があるにゃ」「だから、ああいう殻を鎧に使えば、魔法よけになるんだよ」「へぇ~」 喜ぶのはまだ早い、それでどうするか?「毒は効いていたようだぞ?」「そうみたいだったな、旦那」「うにゃー」「毒はまだあるのかい?」「あるぞ」 とりあえず更に20本追加注文して、落ちてきた殺虫剤をアイテムBOXの中へ入れた。「こりゃ、やるしかねぇ」「にゃー!」「そうか、やるのか」「おー!」 苦難を乗り越えた、アネモネもやる気満々だ。ここで追撃して敵を倒させ自信を付けさせた方が良いかもしれない。「よし、バリケード収納!」 三角形に積まれたバリケードを4基、アイテムBOXへ収納。少し魔法で焦げたようだが、まだ使える。 その後、俺達は闇の中へ更に脚を進めたが、5分程歩いた所で目の前の道がなくなっている。高さ2m程の崖だ。 飛び降りてもいいが、暗いので足元が不安だし怪我でもすると面倒だ。アイテムBOXからアルミの脚立を出すと下に降ろした。 下に降りてから数分でポッカリと空いた広い空間に出る――まるで大広間のような場所だ。 上を見れば5m以上の高さがあるようだが、暗い中なので正確な高さは不明。 天井の一部に穴が開いていて、上に繋がっているように見えるが、ここからでは確認出来ない。 アイテムBOXからレーザー距離計を出して天井の高さを計ってみる――7mらしい。 真っ暗なので、イマイチ状況が掴めない……頭についているライトでは照射範囲が狭すぎるのだ。 広間の中心近くまで行くと――俺はシャングリ・ラから、LED投光機を購入した。50wで防水仕様らしい。 ついでに、モバイルバッテリーもアイテムBOXから取り出して、投光機を接続。 暗い洞窟内に、直視出来ないような明るさの真っ直ぐな光の筋が伸び辺りを照らす。暗い海の闇を裂く灯台のように――。「あそこにいるぞ!」 広間の端――俺達が殺虫剤を掛けた洞窟蜘蛛が瀕死になり、巨大な岩の前で懸命に身体中を脚で擦り、変則的な動きを繰り返している。 それは殺虫剤を掛けた虫が、でたらめな動きをするのに似ていて最後の断末魔なのだろう。