「はぁ……」 王城を出ると、俺は診療所に向かって、来た道を戻った。 何だかどっと疲れた。 ちょうどお昼時だし、診療所を任せているミツラの分も何か昼食を買って行こうか。 そんなことを考えつつ、曲がり角を曲がったところで……「きゃっ!」「うわっと」 誰かが俺の身体にぶつかって来た。 ……いや、念のため言うがぶつかった・・・・・んじゃない。明らかにぶつかって・・・・・来た・・のだ。 その誰か・・……なぜか口にパンを咥えたナオミさんは、どこかわざとらしい感じで体勢を崩すと、地面に尻もちをついた。そして咥えていたパンをいそいそと布に包んで鞄にしまってから、棒読みで声を上げた。「いったぁ~い」「……」「いたたたた……あれ? レオさんじゃないですか! 奇遇ですね!」「……そうですね」 ……何だこの茶番は。 そう思いつつも、ぶつかったのは事実なので手を貸して助け起こす。「よっと」「ありがとうございます。それで……何か感じません?」「……? 何か……とは?」「そのぉ……運命的な何かを」「……いえ、別に?」「え? そ、そうですか?」 作為的な何かなら感じてるけどな。「ナオミさんはこれからお仕事ですか?」「え? え、えぇまあ」「そうですか。頑張ってくださいね」「え、えぇ……レオさんも」 そう言うと、ナオミさんは怪訝そうに首を傾げながら歩き去って行った。 ……結局何がしたかったのかよく分からないが、深く考えるのはやめておこう。