「で、集まったのがこの5人と」 30分後。リビングに集まったのは、シルビアとエコ、そして5人の使用人だった。「キュベロと、イヴと、エルだったか。それと」「お初にお目にかかりますわ、ご主人様。わたくしはシャンパーニと申します」「おお。お嬢様っぽいなぁお前」「こ、光栄ですわ! 感激ですわ! 素敵ですわ~っ」 シャンパーニは胸の前で手を合わせ、ぴょんと跳ねて嬉しさを表現する。感情表現豊かな子だ。ゴージャスな金髪からふわりと花の香りが漂ってきた。表面のファッションだけでなく内面の隅々まで行き届いた身嗜みの全てに並々ならぬ努力を感じる。実に好印象。「私はコスモスです。よろしくお願いいたします、ご主人様」「ああ、よろしく。お前は杖術か」「はい。棒の扱いには自信があります」 コスモスは黒髪ロングの和風美人って感じだな。うーん、しかし、清楚そうに見えて何か隠していそうだ。何故そう思うかって? 【杖術】なんていうマニアックなスキル使ってるからだよ。「これだけか?」「本来ならばコスモスの代わりに園丁頭リリィが加わるはずでしたが、何やら仕事でトラブルがあったようです」「仕事か、大変だな」「大変なのは彼女の部下の方だと思うのですがね……血涙を流して悔しがっておりましたから」 キュベロが苦笑いで答える。「次の機会にと伝えておいてくれ」と言うと、キュベロはどこか嬉しそうな表情で頷いた。「じゃあ行くぞー」 俺は一言声をかけて、あんこを《魔召喚》する。 ざわりと使用人の間で動揺が広がった。そういえば、まだ説明していなかったか。「こいつは俺の秘密兵器だ。暗黒狼のあんこという。甲等級ダンジョン・アイソロイスの裏ボスだな」「……甲等級」「ああ。これから行くダンジョンも、あんこが元いた所だ」 ざわめきが静寂となった。そして直後、騒然とする。「甲等級ダンジョンへ行くと仰るのですか!?」「なんだ、ユカリから聞いてなかったのか?」 愕然とした表情をしているのはキュベロだけではなかった。使用人全員が青い顔をしている。いや、イヴだけは元から真っ白い無表情な顔なので青くなっているかどうかは分からないが、何となーく驚いているように見えなくもない。「心配するな、お前らには指一本触れさせない。社会科見学だと思え」 今回の目的は、経験値稼ぎのついでに「使用人に現場を見せる」ことだ。これは一見して何でもないことのようで、実は非常に重要なことである。 ネトゲとは、上級者に憧れて行動を起こすもの。具体例を見て「ああなりたい」と思わなきゃあ、本気など到底出せない。