さて。「シルビア」 俺はぼーっとしている勇者に声をかけ、自室で二人きりになった。 俺も、大昔に経験がある。 ……よく、分かる。 絶対に負けられない試合で負けるってのは、そういうもんだ……。「泣いていいぞ」 正面から向かい合って、優しく微笑みかけた。「…………ふ、ぅ、ううう、ううっ――!」 突如、シルビアは滂沱の涙を流し始める。 俺は彼女を胸の中に迎え入れて、震えるその背中をずっとずっと撫で続けた。 ――悔しい。悔しい。悔しい。 嗚咽まじりに、何度も何度も口にする。 ああ、彼女は大丈夫だ。 きっとまた立ち上がり、立ち向かっていく。その強さがある。 こんなに強いシルビアが、挫折なんてするものか。何も心配することなどなかった。 最高だ、お前は。 惚れ直すとは、このようなことを言うんだろう。 そうして。俺たちはきつく抱き合ったまま、この日の夜を明かした。 お次は、叡将戦だ。お読みいただき、ありがとうございます。