「南君は刺繍が上手ですわねぇ。きっと学園祭の展示では大活躍しますわね」
吉祥院先輩がニコニコと話しかけてくれるので、いつの間にか僕も普通に返事が出来るようになっていた。僕が学園祭には刺繍のタペストリーを出そうと思っていると話すと、感心して応援してくれた。先輩は何を出品する予定なのか聞いてみたら、困った顔で「実は私、手芸は好きですけど得意ではないんですの…」と教えてくれた。「一番好きな手芸はなんですか?」と聞いたら、やっぱりニードルフェルトだった。ならばそれを作ればいいのでは?と言えば、貧相に見えませんか?と自信なさげに聞き返された。う~ん…。