ここで焦って攻撃する旨みはない。ここでわざわざ攻撃を当てに行く必要性もない。 初手で“有利ポジション”を奪取することこそ、セブンシステムにおける対両手剣変化の第一の目的なのだ。「いやぁ、あいつ最高」 レイヴ君、凄くいい。 ひょっとしたら天才かもしれない。「このッ!」 焦ったヘレスが、《歩兵剣術》を背後のレイヴに向けて大きく振り抜く。 しかし、その重量ゆえあまりにも動きが遅い。加えて長いため、旋回にも時間がかかるわ、思い切り振らないと攻撃できないわで、良いところが全くない。ツヴァイヘンダーの弱点がこれでもかと出まくっている。「終わり」 一言、レイヴが呟いた。 ああなれば、ヘレスの《歩兵剣術》より先に、レイヴの《銀将剣術》が間に合ってしまう。 それは、火を見るより明らか。 レイヴの剣が、ヘレスの側頭部へと襲い掛かる。 勝敗は、決した……