【2017年9月28日(木) 9:00】 愛宕が丘学園の医療検査室。中高の教育施設に明らかに不要なMRI装置が設置してあり、最新の検査機器が並んでいる。 124時間の便器生活を終え、気を失った瑠奈は検査室に運ばれ、詩織の手で体をしっかりと洗われ、担任教師の手で危険性の高いクスリを投与され、その後は久しぶりの睡眠を取ることが出来た。詩織は、高熱で呻く瑠奈の額を氷水で冷やし、解熱鎮痛剤を飲ませ、体中の傷を手当した。綺麗になった体で仰向けになり、僅かに膨らんだ胸を上下させ、安らかに寝息を立てる瑠奈。それを見た詩織は、やはり我慢できなくなったのか、朝まで飽きることなく瑠奈の体を弄ったり突いたり叩いたり捻ったり噛んだり接吻したり電流責めで起こしたり優しく撫でて寝かせたりと愛情を込めて遊んでいた。 目が覚めた瑠奈はすぐにMRI装置に入れられ脳内を観察され、嘘をついていたことがバレた。実際のところ、脳画像化する以前に、老婆の似顔絵を見ただけで、瑠奈は顔を僅かに青ざめ、体を震わせて、嘘をついていることなど誰の目にも明らかだったのだが。 嘘をついた罰として、詩織は瑠奈にさらに一週間連続の便器生活を言い渡した。瑠奈は泣きながら土下座して謝罪して懇願したのだが、結局、男子たちに連れて行かれ、再びトイレに拘束されることになった。 詩織と担任教師は、校庭のゴミ箱の前に来ていた。瑠奈が木に逆さ吊りされて四方八方からリンチされ輪姦され捨てられたポリバケツのゴミ箱だ。 「夏休みの前半に、ルナと二人で映画見たんですよ。10分しか記憶を保てない男が主人公なんです」 「それがどうしたんだ?」 「その主人公、後から確認できるように、体にいっぱいメモ書いて、情報を残そうとするんですよね」 詩織はポリバケツの蓋を開け、ゴミ袋を取り出す。ポリバケツを覗き込み、なにやら探している。 「だから、お前が藤咲の体洗って確認したんだろ? それにこの一週間で何かにメモを残す余裕なんてなかったはずだ」 詩織はポリバケツの中から小さく折り曲げられた紙をいくつか見つける。それらは注意深く探さないと分からないように隙間に慎重に隠されていた。紙を開くと、血でびっしりと小さな短い線や曲線が意味のない落書きのように書き連ねられていた。 「なんだ、これは? 気味悪い模様だな」 「先生、これ速記文字ですよ。多分、早稲田式かな。えーと……老婆、理性の呪い、占い師の恰好をした……て、うわ、これ全部、老婆の情報とあの日の会話だ」 シンプルな直線と曲線でびっしりと書かれた模様は、瑠奈と老婆の会話を全て速記文字で記したものだった。 「なんだと? 藤咲の仕業か?」 「そうですね。これ速記をさらに独自に簡略化させてる奴ですけど、筆跡や癖から言ってルナで間違いないです。いや、あの子、賢いように見えて実際ただの馬鹿なんですけど、それでも記憶力だけは私並みにあるので。点字とか手話とかモールス信号とか速記とか、見せたらすぐに覚えるものだから、面白くって色々私が教えちゃったんです」