「そうそう、彼らはああ見えて優秀な者たちです。祖先にはウリドラの血を与えられておりますので。だからあなたはただ、こんな景色が見たいと願うだけで良いのです。あとのことはお人好しなリザードマンたちが、あの手この手であなたを喜ばせようとしてくれますよ」 私の見たい景色……。 竜からのアドバイスを受けた少女は、先ほどとは異なる瞳をした。うずうずしている様子のリザードマンたちを眺め、そして情景に想いを馳せてゆく。 ちゃんと見てみたいもの。 そこで暮らしたくなる景色。 憧れていた世界はとても簡単に、あっさりと脳裏に浮かぶ。でも今は憧れだけであり、建物や景色のことなどまるで分からない。現地に行って、自分の足で歩かないと作ることなんて出来ない。 こんなとき頼りになるのはただ一人だ。 整地と小屋作りを任せると、皆に手を振ってから彼女はふわりと宙に飛びたつ。 目指す先には第二階層で眠りにつこうとする青年、北瀬がいた