―――落ち着け。この絶望の日々は、誰の記憶だ?確かに頭の一部では、そう冷静な声がするのに、体も心も誰のものかも分からない記憶に引っ張られる。焦燥の気持ちのそのままに剣を抜き、住民たちに切りかかっていくも、やはり夢なのか、その体は私のものと異なり、思うように動かない。あっという間に、住民たちから切り伏せられてしまう。『……ああ、なんということだろう。私はまた、お守りすることができないのか』意識を失う直前に見えたのは、心配そうに私を覗き込む女性騎士で………、暁の髪と金の瞳で……―――これは、夢なのか。再び、あの方を失う夢。次に目を開いた時、私が感じるのは、変わらぬ後悔と罪の意識なのだろうか……「……ラ……フィー……様、……お下がりくだ……」ずきずきと痛む頭、朦朧としてきた意識の下、かろうじて呟いたあの方の名前は、風に溶けていった……