野外演習でのこと自体はリオ自身さして怒いかりを抱いてはいない。許せないことがあるとすればラティーファのことだ。おそらくはユグノー公こう爵しやくが黒幕なのだろうとは思っているが、ラティーファがユグノー公爵の顔を確認していない現状では状況証拠しかないし、当のラティーファが関かん与よを望まないのに何か行動を起こすつもりはない。「承知しました。では、そのようにいたします。わかったわね、フローラ?」 粛しゆく々しゆくと首を縦に振るクリスティーナ。「はい……」 フローラは頷きつつも、何かリオに訊きたそうな表情をしているが――、「では、この件でまだ何か話があればまた後ほど。浴室の用意が整っていますので、ご案内します」 リオは血まみれのコートを着たままだし、クリスティーナやフローラはボロボロになったドレスに身を包んだままだ。 こんな格好でいつまでものんびりと話をするわけにもいかないので、リオはいったん話を打ち切り、二人を風ふ呂ろ場ばへ案内することにしたのだった。